お菓子の歴史 2024.07


スポンジケーキの歴史   文章 髙次萌


 ふわふわとした食感と甘さが魅力のスポンジケーキ。このスポンジケーキがどのようにして生まれ、私たちのテーブルに上がるようになったのか歴史を調べてみると様々な説がありましたが、その中でも私が気になったのを紹介します。


 15世紀頃、ヨーロッパ南西端にあるイベリア半島(現在のスペイン・ポルトガルがある半島)にかつて存在したカスティーリャ王国でスポンジ生地が生まれたとされる説です。ポルトガルではパォン・デ・ローと呼ばれ、教会へのお供え物として作られ、現在でもキリスト教行事に必ず食べられる伝統菓子です。


 その後、ポルトガルから鎖国中の日本へ伝わり独自に進化したのがカステラといわれています。長崎の村人がポルトガル商人にそれは何かと尋ねると「ボロ・デ・カスティーリャ(カスティーリャ王国のデザート)」と答え、カステラと呼ばれるようになったそうです。

 鎖国政策のためクリーム等の製菓情報が伝わらず生地のみが発展し、几帳面な日本人によって、気泡を整えた細かい生地、美しい焼き上がりのカステラという究極のスポンジが生み出されたといわれています。


 ケーキの美味しさは、中に隠れているスポンジ生地の存在によって支えられています。生地には、食感に深みがあることが求められ、製法と材料がとても重要です。乾燥してしまったり、飲み込むとぺったんこになってしまうようなものでは、どれだけ上質なクリームやフルーツを使っても美味しさが半減してしまいます。


 サントアンでは、その日焼きたてのスポンジ生地を使ってケーキを作っています。その代表商品であるショートケーキをぜひお召し上がりください。