美麻珈琲15周年によせて 塚口紗希
(美麻珈琲とは)
サントアンは菓子店の他に、三田市から遠く離れた長野県大町市でコーヒー店も営んでいます。店舗が所在する大町市美麻エリアの地名を借りた「美麻珈琲(みあさこーひー)」は、15坪の小さな店舗でコーヒー焙煎、カフェ営業、オンラインストア営業や業務用コーヒー販売などを行っています。サントアンのお菓子に使用するコーヒー、TEAROOMで提供するコーヒーは美麻珈琲で焙煎したものです。
今年5月、美麻珈琲は15周年を迎えました。この節目に感謝して15周年イベントを開催し、たくさんのお客様にご来店いただきました。誰にも告知せずひっそりとオープンした15年前、初日のお客様はたったの2人。今は地元の方から観光の方までさまざまなお客様が年間?人が訪れるようになりました。
(どうして大町市美麻なのか)
創業者の塚口肇は青年期から山登りが好きで、いつかアルプスの麓で暮らそうと思い描いていたそうです。
自らのアイデンティティである田舎育ちの原体験から、農村の自然と共に暮らす生活を自身の子ども達にも経験してほしいと考え、私を含む兄弟3人を大町市美麻地区に1人2年間ずつの山村留学に送り出しました。山村留学では、寄宿舎と地元農家でのホームステイを行き来しながら、全校生徒100名ほどの村の小さな小中学校に通学します。地域の中で大切に育ててもらい、留学を終えたあとも関係が継続し、そのご縁がコーヒー店開業へ導いてくれました。
「welcome village」-おかえりなさい。そして力を貸してください-
菓子職人修業から独立をへて振り返った時、自然と共に暮らしながら働く生活をいつか送りたいと考えたのでしょう。時間から時間へと働き、自然環境に負荷をかけた、脆弱な人間関係の暮らしに真の豊かさを感じているだろうか。
「Welcome village」おかえりなさい。そして力を貸してください。と迎え入れることができる場所や生活を自ら体現し、お客様や周囲の方々に感じていただける店舗を目指してきたように思います。
3つの原点回帰(=ひとまわりしてもとの場所へ還ること)自然・生命への回帰、文化・歴史の回帰、広く浅い人間関係から心を伴った仲間の精神的な関わり。これらを軸にして、美麻珈琲の計画が進んでいきました。
2000年当時にサスティナビリティ(持続可能性)や、LOHAS(心身の健康、持続可能な社会や地球環境を考慮し、心豊かに暮らす生活スタイル)をコンセプトとし、2007年に店舗兼住居を建設しました。店舗建物の内外壁には圧縮した稲藁を使ったストローベイルハウス工法を用いています。建築で使用する石や木はその地域にあるものを使い、建物がその役目を終えた後は極力ゴミを出さずに自然に還ることができるよう、建材や家具には自然素材を選びました。
建物は自分たちで林を切り開くところから行ったセルフビルドです。森永製菓のチョコレート部門の取引先さんによる木の伐採から始まり、建築のプロではない友人知人のべ300名が、1年間の工事期間中に手伝いに訪れた手作りの建物です。
兵庫県三田市から車で7時間と遠方ですが、ぜひ旅行のついでにお立ち寄りくださいませ。サントアンの一角でも、コーヒー豆、リキッドアイスコーヒー、ドリップパック、コーヒーゼリーなど美麻珈琲の商品を取り扱っております。ぜひお手にとっていただけましたら幸いです。
つづく。