創業から愛され、大切に育まれたサントアン・トリフケーキ、店名を冠にした唯一のお菓子でもあります。
お家の形に見立てて作られたこのケーキは、アーモンドの粉とココアをふんだんに使った生地の間にガナッシュクリーム(チョコレートと生クリームを混ぜ合わせて作るクリーム)がサンドされた濃厚なチョコレート菓子です。
サントアン創業・塚口肇の師、ケーキハウスツマガリ(西宮市甲陽園)の津曲社長から「お店の一番菓子に育てなさい。」と受け継いだもので、津曲社長がスイスの老舗チョコレート菓子店「Sprüngli(シュプリングリ)」で修行した際に学び、今日まで大切にされてきたお菓子の一つです。
Sprüngli(シュプリングリ)はスイスの主要都市チューリヒにあります。チューリヒはローマ時代から栄えてきた歴史を誇り、名所史跡も数多く点在していますが、スタイリッシュなホテルやレストランやカフェ・クラブなども多く、流行の発信地でもあります。
美術館や劇場などの文化施設も多く、経済と文化の中心を担うスイス最大の都市です。そのチューリヒ中心部に本店を構えるシュプリングリはスイスの老舗チョコレート菓子店として180年以上もの歴史があり、スイスのチョコレート生産を牽引した開拓者とも言われています。チョコレート菓子の他にもレストラン・カフェ・バーを有し、地元民や観光客から愛されるスイスの名店です。
シュプリングリのスペシャリテ(“お店の顔”とされる一押し商品の意味)として50年以上も作られ続け、喜ばれているトリュフケーキ。前出の塚口肇が7年前にヨーロッパ中を歩いて旅した際(著書『90日間ヨーロッパ歩き旅』書肆侃侃房/サントアンで販売しています)に食べたトリュフケーキは20年前に訪れた頃から進化をとげ、さらに美味しく改良されていたといいます。
遠くスイス・チューリヒ名店の味が津曲社長の修行時代から連綿と受け継がれ、進化を続けながら三田のこの地で愛されるお菓子に育ったことや、長い年月の歴史を思うと深く身に染みて感じ入ります。
これまでサントアン・トリフケーキは、おいしさの追求と無添加化を目指して何度も改良を重ねてまいりました。一度作ったら終わりではなく、使用するチョコレートや原料の配合変更など、常にその時々の最良を選択してきました。
変わらないために変わり続ける、今後も大切にお店の一番菓子を育てていきたいです。
シュプリングリ Sprüngli
Zurich, Paradeplatz (Headquarters)
Bahnhofstrasse 21, 8001 Zurich
文章 塚口紗希